ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

凍結だったのに

栗東市での新幹線新駅計画が31日で中止確定となった。

新駅計画の是非が主な争点になった昨夏の滋賀県知事選は、現知事が勝ったというより、前の知事が負けた選挙だった(非常に観念的ですが)。その意味で、現知事は、前の知事を落選させたという点においてだけ私は評価する。他のことはどうでもいい。

その後の経過はここでは触れないが、2点だけ指摘しておく。ひとつは、選挙中、現知事は凍結といってたのに、いつのまにか事実上の中止にすりかわっていて(本人は凍結を使い続けているようですが)、いまでは誰も何もいわないことだ。今になって中止というなら、現知事は共産党系候補と共闘すればよかったのだ。この微妙なずらしには違和感がある。

もうひとつは、こんなに早く公約を実現させてしまって、今後、知事は残り任期をどうするのかなあということだ。本来なら自民相手にもっと押したり引いたりして次期知事選までひっぱっていき、争点にすれば楽に再選できたのにな、と思う。新駅以外の公約は今後そう簡単に実現できそうにない。新駅凍結という政権維持装置を早々に手放してしまって大丈夫なのか。他人ごとながら心配になってくる。

最後に私なりの見立てを書いておく。新駅はいずれ建設スキームをかえてまた持ち上がってくるのではないだろうか。

この問題は、一部ルートがまだ確定していない北陸新幹線を米原で東海道新幹線に接続させるかどうかと深く関連しているように思えてならない。米原で接続させ、新大阪から北陸方面に直通電車を走らせようとすると、新大阪−米原間は非常に過密になる。JR東海としては栗東に退避線ができると非常にうれしいはずだ。

今夏の参院選で滋賀の自民現職を落選させる引き金になったと地元で言われている森元首相(石川県選出)の滋賀県知事批判(批判の内容はネットで調べてね)も、米原接続を念頭に置いた上で自身の地元の利便性を確保するのが目的のひとつだったような気がしてならない。発言内容はよくないが、いわんとすることはわからないではない。

米原接続を頭において考えた場合、栗東に駅ができることの受益者は地元住民だけでなく、JR東海北陸新幹線沿線にまで広がってもいいはずだった。なのに、JR東海は請願駅だとして建設費の全額を県や地元自治体に負担させようとした。この辺の課題がもっと早い段階で交通整理されれば、展開は違ったかもしれない。

これは戯言ですが、県民であるうちの70代の母親は「これだけ区画など準備を進めておいていまから中止するのはもったいない」といってます。そもそも新駅が中止になっても県全体の借金からみれば焼け石に水だし、予定地周辺の再開発に関しては中止に伴う代替事業を行うことで新たな出費も迫られるだろう。

でもまあやっぱ事業費240億円はちょっと高い。そもそもこの額はJR側の言い値なんだよな。このあたりはまた別稿で触れたい。がめついんじゃないのか、JR東海