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立命館転籍問題の続報です。15日の時点では「適正」と主張していた大学側ですが、16日の記者会見では一転、全面降伏となりました。15日時点の主張はすでに大学のホームページから削除されていますので、朝日新聞の記事を再掲しておきます。

転籍募集「措置は適正」 立命館大がHPで見解
立命館大は15日、生命科学部での転籍募集について「学生への教育環境の保障という見地から適正なものであった」とする見解を大学の公式ホームページで示した。谷口吉弘・同学部長と中村正・教学部長の連名で、転籍を募った判断の背景に文部科学省からの補助金など私学助成の厳格な基準があったことを認めた上で、「(私学助成は)基本的な勉学条件の保障に資するものです。この点を考慮することは大学としての当然の責務であると判断しました」としている。

それが、一転、以下のようになりました。これも削除されることも考えて、再掲しておきます。
http://www.ritsumei.jp/news/detail_j/topics/1158/year/2008/publish/1

2008年度生命科学部における特別転籍についての考え方と今後の対応について
このたび立命館大学において実施いたしました特別転籍に対し、「私学助成との関係で疑念がある、生命科学部以外の学生が対象とならないことなどの不公平感がある」などの社会的なご批判をいただきました。また、4月15日には文部科学省、日本私立学校振興・共済事業団から事情聴取を受けました。
 これらのご批判を踏まえまして、4月15日、16日の常任理事会において、教育・研究機関である大学として社会的な説明責任を果たす必要から、生命科学部における特別転籍についての考え方と今後の対応について決定し、これを受けて、本日、川口清史学長が記者会見を行いました。
 記者会見で説明いたしました内容は下記の通りです。
立命館大学は、教育機関としての社会的責務を一層深く自覚し、社会的説明責任という観点を強くもって、今後とも、教育・研究の創造にむけて、より一層の努力を重ねていく所存です。
■2008年度生命科学部新入生を対象として実施した特別転籍についての基本的考え方と今後の対応について■
 今回の特別転籍に対し、私学助成との関係で疑念がある、生命科学部以外の学生が対象とならないことなどの不公平感があるなどの厳しい指摘を受けました。本学では、この指摘を真摯に受け止め、昨日夜に緊急の常任理事会を招集し、今後、特別転籍を実施しないことを決定しました。この決定は、教育研究を通じて人材の育成と社会の発展に貢献することを使命とする教育機関である本学が、学生に不公平感を持たせることはあってはならないという判断に基づくものです。また、私学助成が不交付にならないことのみが目的であるという疑念を抱かせる措置を続けることはできないと考えました。このような疑念をもたれるような措置を行ってきたことは、大変遺憾であり、深くお詫び致します。

 生命科学部は、今年4月に開設した新設の学部ですが、9000名を超える志願を頂くことができました。合格発表に当たっては慎重に判定を致しましたが、入学手続率の見通しの甘さもあって、結果的には定員の1.4倍を上回る入学手続者数となりました。本学では、国から私立大学に交付される私学助成は、教育の質の向上とそれを支える基本的教育条件を整備する上できわめて重要な役割を果たしていると考え、私学助成が交付される学生数を教育条件の保障を担保する指標のひとつとして認識してきました。このような中で、特別転籍は、学部等の設置認可申請の基準に抵触することや私学助成の不交付を回避しつつ、各学部の教育条件を保障するものとして行ってきたものです。具体的には、これらの基準を上回る入学手続者数となった場合、クラス規模や教員体制、教室条件など最低限の教育条件を保障することが困難になる恐れがあります。こうした事態が生じないように、クラス数増加や新たな担当教員の確保、教室条件の工夫などを短期間の間で行ってきました。さらに、他の学部等で学ぶことを希望する学生がいる場合は、その希望を踏まえて特別転籍を行ってきました。

 本学では、1993年度の国際関係学部および文学部哲学科、1994年度の理工学部、1999年度の政策科学部においても特別転籍を実施しています。特別転籍にあたっては、本人の希望を前提に、その勉学意欲や学習目的などを関係する学部で慎重に審査した上で転籍の可否を決定してきました。しかし、入学直後に転籍を実施していることや生命科学部のみで実施したことについては、不公平感をぬぐうことは困難であると言わざるを得ません。
本学は、本日の常任理事会において、特別転籍に関わる事実経過の確認と検証を行うために、外部の有識者を委員長とする「特別転籍に関する検証委員会」を設置することを決定しました。また、今回の問題を教訓とし、教育機関としての社会的責務を一層深く自覚し、社会的説明責任という観点を強くもって、今後とも、教育・研究の創造にむけて、より一層の努力を重ねていく所存です。
                                   2008年4月16日 立命館大学

企業並みの意思決定の素早さ、方針転換の迅速さ、さすがです。教授会もスルーなのでしょうか。
前のエントリでも紹介しましたが、立命館の幹部が大学改革に触れた論文があります。その中では以下のように言っています。

立命館学園は、第3次〜第5次の長期計画期間(1984〜2000年度)中は多少なりとも「私学らしい大学改革」のフロントランナーの役割を果たしてきたと自負している

これを否定するつもりはないのですが、一方で、以下のような感想をもつ人もいるようです。
http://neon-1996.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_10d8.html

立命館ならば何をしてもまかり通るという感もぬぐえないが、逞しさ、図太さには呆れたというのが本音である。

これって、表裏一体の話なのではないかと。今回の問題の遠因ではないかと思います。
ついでに強烈なやつもひとつ。大学幹部のインタビューです。
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/shidai/060404.html

−立命大は何を目指すか。
 研究力強化だ。そのために大切なのは共同研究で、現在の教員を組み合わせて新たな研究を生み出すプロデューサー的な人材を30人取りたい。大学院は旧帝大のように全学部に博士課程がある必要はない。先端総合学術研究科が好例だが、必要なのはうちにしかない分野。将来抜本的に再編する。映像学部に加え、生命科学系学部もつくる。私大の早稲田、慶應、立命館という評価は定着しつつあり、さらに高い目標を目指したい

フォローになってないかもしれませんが、大学経営に企業的な手法を導入した「立命館モデル」とも言うべき大学経営モデルを私は評価してます。もっとも中高年の同窓生はあまりの変貌ぶりに「私たちの母校はどこへ行こうとしているのか」と思っているでしょうけど。