ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

お殿様が年貢を取っている訳ではない

京都関係の「失言もの」でもうひとつ。これもいまさらの感はありますが、ご容赦を。

文科相時代の2007年2月に「人権メタボリック」発言もあった伊吹文明自民党幹事長です。

こんどは「お殿様」発言が話題になっています。

一番良いのは増税なき財政再建でしょう。それはそれに越したことはない。ただ、今明らかに大変な国債残高があります。そして、この財政の問題は、環境の問題と非常によく似ていて、今に生きている自分たちの財布の中から税金を払うという痛みを避けることによって、国債を発行することによって、次の世代が納めた税金を次の世代が決められないようにしています。次の世代は一定額を利払いし、一定額の国債の返済に自分たちの納めた税金が当たり前のように使われなければならないという状態を押しつけられている訳でしょう。これは環境の問題と一緒で、今に生きている者がこんなにたくさんの電気をつけなくても、もう少し電気を節約して、エアコンを止めて、近距離を歩いて、車はできるだけ乗らないという便益を我慢すれば、次の世代は温暖化の進まない世代を享受できる訳です。ところが、今に生きている者が、外出するときに、テレビの待機電源をぴちっと切ってくるだけの手間を省いてしまうために、次の世代は温暖化が進んだ時代を押し付けられる訳です。
世代間の公平ということから考えて、増税をせずに、国債の減額をしていけるのであれば良いです。しかも、諸外国と比べて、国民負担率の議論等を色々考えた上で、どうしていくか。まず、中川元幹事長がおっしゃったことは正しいと思いますが、それは無駄がどの程度あるかということを根本的に見直した上で、昔の封建時代のお殿様が年貢を取っている訳ではないから、今のお殿様は国民ですから、国民の使っているものに対して、年貢が追い付かないのであれば、年貢をもう少し増やすというのは、私は当たり前のことだと思います

http://www.jimin.jp/jimin/kanjicyo/2005/200513.html
発言の趣旨はよく理解できます。ただ、ここでたとえとしてお殿様とか年貢を持ち出してくる必然性がいまいちよくわかりません。
この人の発言は、新聞でいうところのストレートニュースで取り上げられることは少ないのですが、不規則発言的なもの言いが話題モノとして囲み記事になってることが普段から多いような気がします。日経2面下の似顔絵付きひとこと欄などです。
こういった欄に取り上げてもらえるよう、ぎりぎりのところを狙ってきてるのかな(何を狙うんだ、というツッコミもありましょうが)という感じすらします。もしくは、記者が「与党幹事長なんだから、せめて囲み記事にしよう」とがんばって記事を書いているか、です。
その中で不思議なことに、これまでのところ決定的な失言はありません。
氏のもの言いは、いわば、刑務所(あくまでたとえです)の塀の上をそろりそろりと歩いている感じです。一種、スリルを楽しんでいるのでしょうか。決して中には落ちないぞという自信めいたものも感じられます。実は相当計算しているのかな。
さいごにひとつ。
これは2007年7月段階の自身のホームページの巻頭言です。

昨年九月の新内閣発足以来、近隣諸国との関係改善、教育基本法改正や憲法改正手続法の成立など、政治がなすべき仕事を安倍内閣は着実に進めてきました。閣僚の失言や政治資金の処理、年金問題等で、内閣支持率は一進一退ですが、選挙では是非、政策、仕事で内閣を評価したいものです。

http://www.ibuki-bunmei.org/officialorgan02.html
時系列からいって、ここでいう失言の中には、自身の「人権メタボリック」も入っているのでしょう。なかなかブラックです。