ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

利害共有者

17日のJリーグ浦和−G大阪戦の騒動が話題になっています。
http://www.j-cast.com/2008/05/19020307.html
誰が悪いのかについては私はよくわからないので言及しません。ただ、あれだけの騒ぎになってしまった以上、主催者(浦和)の管理責任は一定、免れないだろうとは思います。
サッカーはスポーツです。勝つ者がでれば、同時に負ける者もでます。対戦する両チームはどちらも勝とうとするわけで、その目標や利益は常に相反します。そのことが、ひいてはチームを応援するサポーターの対抗心につながります。今回の騒動も、そんな対抗心が沸点以上になったがゆえに起きたのだろうと思います。
いうまでもなく、サポーターがサポートしているのは、ピッチで戦っている選手やチームです。先ほども述べたとおり、試合で勝つのはどちらか片方のチームですから、自分のひいきのチームを勝たせようとサポートするということは、同時に相手チームの力を奪うように仕向けることです。相手チーム選手に対するブーイングなどがその最たるものでしょう。その先には、相手チームのサポーターとの対立もあるかもしれません。
だから、試合が行われるスタジアムという空間の中で、サポーターのエネルギーが相手チームに向けられるのはある意味、当然かもしれません。しかし、一方で、ゲームを離れてもっと大きな枠組みで考えた場合に、対立することばかりが果たしていいことなのかという気もします。
スポーツはエンターテイメントです。サポーターも含めた観客がいて初めて成立します。クラブの経営は、観客が払う入場料を含めた収入で成り立っています。
ところが今回のような騒動が続けばどうでしょうか。熱心なサポーターはともかく、家族連れのようなファンは危険だと感じてスタジアムに足を運ばなくなってしまうのではないでしょうか。
入場料が減れば、クラブの経営も苦しくなります。チーム強化に使えるお金も減るでしょう。チームの弱体化につながりかねないし、他のチームでも同じようなことが起きればJリーグ自体の魅力がなくなっていく方向になるおそれも出かねません。
そう考えたときに、サポーター、クラブ、チーム、選手そしてJリーグ、サッカー界が、ある程度利害を共有していることに気づきます。皆に共通する利益とはなにか。それは、サッカー界全体が盛り上がることでしょう。そのためには、まずは皆がスタジアムに足を運びたくなる環境づくりが大切です。クラブやJリーグがそれに向けて努力するのはもちろんですが、サポーターや選手も意識づけが必要です。そのことがひいてはJリーグや日本のサッカー界の隆盛につながるのではないでしょうか。
私も以前、欧州のスタジアムでサッカーを観戦した経験があります。両チームのサポーターの応援がかもし出すスタジアムのぴりぴりした雰囲気はたしかに「サッカー文化」と呼ぶにふさわしいものかもしれません。しかし、歴史ある文化だからといって、それを100パーセント是認しなくてはならないといったものでもないでしょう。いいところだけを取り入れていけばいいはずです。
サッカー界の関係者は「サッカーにいざこざはつきもの」といったような見方をせずに、本腰をいれて対策をとるべきだと思います。今回の騒動は、日本サッカーの今後を左右しかねない一大事ととらえるべきではないでしょうか。