ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

温暖化防止+景観保全

日経のトクダネだったと思うので、日経を先に挙げておきます。続いて朝日です。

京都市は市内中心部にあるコンビニエンスストアの深夜営業を規制する方針だ。消灯によって夜間の町並み景観をよくするのが狙い。地球温暖化ガスの市の排出量を抑える効果もある。7月にも業界団体や有識者が参加する研究会を立ち上げ、年内にも具体案を詰め、来年度にも実施する考えだ。環境や景観配慮の動きとして全国的に注目を集める可能性がある。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080613AT1C1200A12062008.html

京都市は地球温暖化対策の一環として、市内にあるコンビニエンスストアに深夜の閉店を求める方針を固めた。省エネで温室効果ガスの排出を減らすほか、消灯で夜の町並みの景観を改善する狙いもある。7月にも業界団体や有識者らによる「市民会議」をつくり、具体案をまとめ、来年度にも実施したい考えだ。合わせて自動販売機の台数規制も検討する。都市部での深夜閉店は珍しく、温暖化対策のモデルになることをめざす。

http://www.asahi.com/national/update/0613/OSK200806130032.html

今回の方針については個人的には驚きません。私が過去に書いた以下のエントリの文脈の延長にあると思いますので。
京都を再生させるたった一つの方法無粋だけじゃない

京都市では1997年に地球温暖化防止の国際会議があり、その成果は京都議定書としてまとめられました。これをきっかけに京都市は環境問題(特に地球温暖化防止)に熱心に取り組むようになりました。
景観保全はもちろん京都市の最重要課題です。
良し悪しは別にして、この温暖化防止と景観保全がセットになったら今の京都市では最強です。誰も異議を唱えることはできないでしょう。もちろん経済活動が一定制限されるぐらいでは文句は出ません。

私も個人的にはコンビ二の照明は過剰な気はします。でも深夜の一斉閉店とまでいくとどうなのかなと思わないではありません。
もっとも疑問なのは、24時間営業のスーパーとの整合性です。名前は挙げませんが、京都市内には24時間営業のスーパーチェーン店がいくつかあります。こちらは規制(もしくは自粛)の対象にならないのでしょうか。そのことに関してコンビニ側から「不公平だ」と文句は出ないのでしょうか。出たときに市側はどう答えるのでしょうか。
さらにもう1点あります。深夜営業の店というのは、飲食店やカラオケなどいろいろとあるわけで、この方針から言えばそれらの業種は対象となるのかどうなのか。有用性(公益性)から考えれば、カラオケよりコンビニのほうが深夜営業は必要な気がしますがどうでしょうか。
上記の日経と朝日の記事を比べると、施策実施の理由について、日経は景観が主で温暖化が従。朝日は温暖化が主で景観が従です。はたしてどっちが本当なのでしょうか。
温暖化防止と景観保全という点でいえば、景観保全の観点からはかなり思いきった施策が必要です。コンビニの営業自粛を業界は納得しないでしょうが、市民のコンセンサスはある程度は得られるような気がします。行政としては、市民から反対されにくい景観問題を後ろ盾にして、温暖化防止をひっかけて点数を稼ごうとする意図があるような気がします。
日経、朝日の記事に関連して言及すると、市民への説明の仕方は日経型ですが、洞爺湖サミットが近いことなどを考えると、政府など外向けのアピールは朝日型なのかなという感じでしょうか。まあ、日経を追いかけたのが朝日だけだと考えると、そもそも実現性がはたしてあるのかといった疑問も出てくるわけですが。
京都市の施策はいわば温暖化防止、景観保全社会主義なのであり、それ自体はある程度必要なことかと思います。ただ、日本はあたりまえのことながら自由主義経済ですから、重要なのは両者の折り合いをどうつけていくかということではないかと思います。
この問題は今後も紆余曲折があるのではないでしょうか。