ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

win−win 京都府立高と関西大の協定

ちょっと遅いですが。

向陽、乙訓、西乙訓の乙訓地域の京都府立3高校が、関西大(大阪府吹田市)との間で特別進学枠を設ける「パイロット校」の協定を結ぶことが12日までに分かった。18日に調印式を行う。関西有力私大の関大との連携を強化し「内部進学」を実現する。府立高が私立大とパイロット校協定を結ぶのは初めて。
京都市と乙訓地域の公立高普通科は2009年度、現行の4通学圏から2通学圏に再編される。新たに京都市南通学圏となる3校にとってパイロット校協定は、学校の特色をPRできる利点がある。府教委によると、関大は09年度、向陽から10人、乙訓と西乙訓から各11人を受け入れるという。
少子化で学生獲得をめぐる大学間競争が激化する中、関大はこれまでに大阪や奈良などの私立14校とパイロット協定を結んでいる。京都では昨年の京都光華高(京都市右京区)、20日には大谷高(東山区)とも結ぶ。公立高の協定は本年度が初めて。10年度、大阪府高槻市に新キャンパスを開校予定で、同市に近い乙訓地域の公立高から優秀な学生の確保を目指す思惑もあるとみられる。
(2008年6月13日 京都新聞)

協定という以上はそれを結ぶ2者がともに利益がなくては意味がありません。京都府立の3高校と関西大はともにwin−winの関係にあるということでしょう。
この場合、大学側は少子化の中で学生を確保することができます。一方、少子化は高校側も同じです。高校側も進学枠を確保することで地域での存在感を高めることができます。乙訓(おとくに)地域は京都府の南部にあたり、関西大と比較的近く通学にも便利だという事情もあるのでしょう。
記事に府立高と私立大のこのような協定は初とありますが、正直、思い切った施策だなと思います。
ひとつは公立高と私立大の協定であることです。府立高校は府民の税金で運営されています。協定が生徒にとってメリットになるのはわかりますが、なんで特定の私立大を利するような協定を結ばなくてはいけないのかといった意見もございましょう。なんで京都府内の国立、公立大学ではだめなのかと。
2点目は、よしんば私立はいいとして、なんで地元・京都の私立大学ではないのか、といった声もあるかもしれません。拡大政策で名をはせる某大学あたりが「なんでうちじゃないんだ」と文句を言ってもおかしくありません(言ったかどうかは存じません。念のため)。
京都では蜷川府政時代、「15歳の春を泣かすな」という有名なスローガンのもとに推進された公立高校の施策がありました。要するにみんなちゃんと公立高校に入れるようにしようという施策です。しかし、その反動からか公立高は大学受験にうまく対応できず「18歳の春は泣いていた」と揶揄されていたようです。
その時代からすると、今回の協定は、府立高校が大学進学の予備校化しているどころの話ではなく、私立大の付属高校(ちょっと極端ですが)になっているかのように受け止められても仕方がないのかもしれません。蜷川府政時代には考えられなかったことであり、故蜷川氏もさぞお嘆きのことかと思います。
ただ、時代は変わりました。いろいろな声があったとしても、今回の協定をダメだと言い切れる人はいないと思います。今はそういう時代ではないかということです。