ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

140万人は超えたけど

地味な話題かもしれませんが、お隣の滋賀県の人口が140万人を超えました。
http://www.pref.shiga.jp/data/population/renew/index.html
滋賀県のHPによると、1996年11月に130万人を達成してから約12年経過しています。県の人口増加率は0.52%、自然増加率0.21%、社会増加率0.31%でそれぞれ全国4位です。県南部でとくに人口が増えています。京阪神通勤者のベッドタウンとして流入が増えて社会増となっており、流入しているのが比較的若年層の家族で、子供も産むから自然増にもなっているという構図かと思います。
どのくらいの住民が京都や大阪に通っているかに関しては2005年度国勢調査が参考になります(滋賀県の流出人口がわかればいいのですが、HPではうまく探せませんでした)。
http://www.pref.kyoto.jp/tokei/cycle/kokucho/kakuhou/tk200706/hirujinkou.html
京都府のHPによると、滋賀県から府内には約6万1000人が通勤、通学していることがわかります。
滋賀県は近江米が名物であることでもわかるとおり、そもそも1次産業立県でした。琵琶湖の周囲の肥沃な土地で農業をしていました。一方、戦国時代に歴史の舞台となったことでもわかりますが、もともと交通の要衝で、戦後は東海道新幹線や高速道路ができて工場立地が進み、2次産業も発達しました。
その後、前述したとおり、京阪神のベッドタウン化して通勤者が増えました。こういった昼間は京都や大阪に通う「滋賀府民」らにとって滋賀県はあくまで生活のみの場であって、就業の場ではありません。自分が納める税金は、自宅の近くに公園ができるとか自分の生活が便利になることに使われればいい、と思う人が多いとしても不思議ではありません。これまでは県民の多くが県内で働いていたから、県としては農業なり工業なりの産業振興にその資源(税金)を分配する必要があったわけですが、あんまりそういった必要性を感じない県民が増えてきたといっていいかもしれません。
県民=納税者は、当たり前ですが有権者でもあります。県南部を中心に滋賀府民が増えていることが、あくまで私見ではありますが、一昨年に嘉田由紀子知事を誕生させた一因だと考えています。もちろん滋賀府民が全部同じような投票行動をとるわけではありませんが、前述の流出人口数をみてもわかるとおり、県内の選挙を左右しかねない影響力をもちはじめたと考えられます。
こういった滋賀府民にとって新幹線新駅やダムは「もったいない」存在だというのはなんとなく合点がいきます。嘉田知事が直接言及しているわけではありませんが、生活者重視の視点だといっていいかと思います。
ただ、あたりまえですが、県内で就業している県民も多いわけで、そういった県民は京阪神の通勤圏からはずれている北部に多く存在します。北部では産業振興に税金を使うことは有権者の利害に一致します。そうすると、生活者重視派対産業振興派は県南部対県北部の地域対立に置き換えられかねないことになります。この南北問題は当然ながら南が富んでいて北が貧しいという構図であり、格差問題にもつながりかねません。
北部は県全体からみれば有権者数は少ないですが、かといって決して無視できる数ではありません。実態以上に地域格差問題が強調されることは、県政運営にとっても知事の選挙戦にとってもあまり好ましいことではないでしょう。
そういった点を意識したかどうかはわかりませんが、嘉田知事は140万人突破の記者会見で「(湖西・湖北地域に)力を入れたい」(京都新聞)と答えています。これは単に南部は人口が増えていて北部はそうでないからというだけではないというのが私の考えです。
追記 2008-08-30
県南部の人口増加に関しては、以下とも関連しておるのでしょうなあ。

滋賀県内の都市が栗東(6位=以下順位)、守山(14)、長浜(20)、草津(30)、彦根(38)、近江八幡(48)と全国上位50位に軒並み顔を出しているのに比べ、京都府内の都市はひとつもランクインしていません(まあワースト50にもはいってないですが)。

滋賀に大敗?