ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

市長はんは「ほんまもん」がお好き

「ほんまもん」は関西弁で「本物」という意味です。この言葉が非常に好きな方が京都に1人いらっしゃいます。

京都市の青少年科学センターに,小さな,本当に小さな磯を体験できる展示物があります。小さいトンネルを作って,子どもが通れるようになっています。子どもたちにたいへん人気があり,学校の先生から聞く話でも,「学習効果が素晴らしい。やはり「ほんまもん」を見ることは,映像で見るのとは違う。」ということであります。排水にも注意を払っており,水が汚れれば,海の生き物が駄目になってしまうこともきちんと教えています。もちろん海へ行って学べれば良いが,内陸の京都人はなかなか行けません。ただし京都市には,動物園があり,動物園で動物愛護の精神が培われるということはあります。(7月16日会見)

今,京都が,全国から,世界から大変に注目され,この5年間で外国人宿泊観光客数は2倍を超えています。こうした時期に,更に飛躍する大きな材料を与えていただいたと思っています。それと同時に,147万人の京都市民,子どもたちが,有名な素晴らしい祭りであるこの祇園祭の深み,ほんまもんの姿をしっかりと知っていただいているのかと思う。祇園祭山鉾巡行そのものを見たことがあまりない京都の子どもたちもいますので,この機会にまずは,祇園祭の素晴らしさ,その精神を伝えていくための様々な取組を具体的に進めていきたい。そして,今後相談させていただきますが,先ほど深見理事長から話がありましたように,全国はもとより世界に発信していく具体的な仕組みを作っていきたいと考えています。(7月30日会見)

京都市HP

門川大作市長です。実はこの「ほんまもん」は市長選最中に一部で大問題となりまして(詳しくは「門川大作 ほんまもん」でググってください。たくさん出ます)、本来なら市長にとって禁忌となるべき言葉なのですが、門川氏はあいかわらず使い続けています。よほど信念があるのでしょう。

私はそれをくさしているのではありません。彼の場合、「ほんまもん」は「源流」「オリジナル」とか「本質」といった意味で使っているようです。京都の都市戦略がどうあるべきかといった観点(詳しくは過去エントリー「京都を再生させるたった一つの方法」で書きました)から、そんなに外れていないと思いますし、それなりに評価しています。

ただ、ひとつ言わせていただくなら、そうやって言葉ばかりが先行してしまい、上滑りがちになるおそれはないのかな、ということです。言葉を連発するのもいいけれど、どう「ほんまもん」なのかその中身も語ってほしい。「京都=ほんまもん」は、思考停止的になんとなく通用してしまうので、よけいにそう思います。「お前なんかに偉そうに言われたくない」との声が聞こえてきそうですが。

京都市長は京都市のトップセールスマンであり、広報担当者なのですから、そのへんうまくやっていただきたいと思う所存です。

こうやって為政者の声を注意深く聞いていると、「あっ、また得意のフレーズが出た」などと合点してみたりしてなかなか楽しいですよ。