ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

京都はト・ク・ベ・ツ

京都市の門川大作市長が市議会で「京都市は特別市を目指す」と宣言しました。

京都市の門川大作市長は8日行われた9月定例市議会の代表質問で「地域主権を推進するには道州制と併せて特別市としての京都を目指すべきだ」と述べ、道州制の実現と同時に府県を廃止し、政令指定都市の権限と財源を強化した特別市を置く自治制度が望ましいとの見解を示した。

特別市は桝本頼兼前市長が2002年に提唱したが、当時は府県を残して独立する構想で、京都府の山田啓二知事が反対を表明。これに対し京都市議らから「政令市の府議は不要だ」という議論が出るなど、府市双方が激しくやりとりした。

今回も自民党の内海貴夫市議が関西二府七県と四政令市、経済団体が6月に設立準備で合意した関西広域連合について「福井、三重は骨格案に合意しない意向を示し、京都市も参加に消極的な姿勢を示した。京都に道州制はそぐわない。日本の京都として特別市の位置付けを探るべきだ」とただした。

門川市長は答弁で、関西広域連合について「道州制の第一歩であるべきだが、明確な位置付けがない」としたうえで、道州制の実現を視野に入れ「新たな大都市制度の創設を他都市と連携して国に働き掛けていく」とした。

「特別市目指す」京都市長が表明  道州制実現で府県廃止想定(京都新聞)

いろいろ論点はあります。まずは、今回は都道府県制の廃止を前提としていることです。2002年のときと違って、今回は京都府ともめる要素はなくなります。とりあえず「府市協調」ですな。

次に州との関係(仮に関西州とでもしておきましょう)です。質問議員は「京都に道州制はそぐわない」と言い切っているわけですし、これに対し市長は「道州制と併せて特別市としての京都を目指すべきだ」と答弁しています。

この「併せて」というのがポイントでしょうか。州と特別市は並立だという考え方なんですね。その地域には含まれるけれど、独立的な地位ということでしょうか。

特別市の歴史は古いです。

昭和22年(1947)5月3日に施行された日本国憲法は、第8章で明確に地方自治を保障しています。すなわち4か条の規定を設け、地方自治の尊重確保、地方自治体の機関の民主化、地方自治体の権能(自治権)の保障、および地方自治組織に関する基本的事項を明文をもって規定しました。新憲法と同時に施行された「地方自治法」は、新憲法の中で位置付けられている地方自治を具体化するものでした。そして、この中に特別地方公共団体として「特別市」の条項を設け、その指定は法律によると明記されていました。

特別市とは、大都市市域における大都市と府県の二重行政、大都市に対する国と府県の二重監督の弊害を除去するため大阪・名古屋・京都・神戸・横浜の五大市を特別市として府県から独立させる制度であり、六大市(東京市は昭和18年の東京都制施行により東京府と合体し、東京都となる)が明治時代から運動を進めていた長い歴史を持っていました。

大阪市公文書館

戦後当時の特別市は「府県から独立させる」とはっきり定義されています。この定義は道州制下でもおそらくかわらないでしょうし、実際、市議会でも質問者、理事者ともそう考えているように受け取れます。そうするともうひとつ問題がでてきます。

それは、京都は関西州の州都を目指すのか否かという点です。大阪市のHPにあるとおり、州から独立した存在となるのであれば、州都の資格は持ちにくいと考えるのが普通ではないでしょうか。もっとも、こんな提言も過去には出ているんですが。

関西経済同友会は1日、道州制導入時の「関西州」の州都を「京都」に置き、大阪市は周辺市町村を合併し、「大阪都」として経済都市に特化するなどとした提言をまとめた。

関西州都、なんと京都…経済同友会の提言まとめ(読売新聞)

州都かどうかは別にして、「特別市」の文字通り、京都が特別であるということを希求していくことは京都の都市戦略に合致していると私は思います(詳しくは過去エントリー京都を再生させるたった一つの方法をごらんください)。特別市の権能として具体的にどのようなことを京都市が想定しているのか私にはよくわかりませんが、いずれにせよ特別市は強力なツールだといえます。

そもそも京都市は関西広域連合にも消極的なようです。大阪、神戸あたりは「また京都のわがままが始まったな」みたいな受け止めでしょうか。

基本的には「特別で結構、わがままで結構」だと私は考えています。ただ、さすがに近所付き合い程度のことはしていかないとまずいかなと。今後は、そのバランスのとりぐあいが難しいのではないでしょうか。

関連の過去エントリーもよければごらんください。
市長はんは「ほんまもん」がお好き