ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

嵐山VS清水寺

記事を読んでいろいろ考えてしまいました。

京都市内観光の訪問先で21年連続トップの清水寺を、長く2番手に甘んじてきた嵐山が追い上げている。温泉やライトアップなどの魅力づくりに加え、京福電鉄嵐山線が今春から延伸した市営地下鉄東西線と連絡して行楽客が増えており、悲願の王座奪還は近い?
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市観光調査によると、市内を訪れた観光客が立ち寄った割合を示す訪問率は、清水寺が1987年に嵐山から首位を奪ってから昨年まで連続トップ。ただ、5年前の2002年は清水寺と嵐山は2倍以上の開きがあったが、昨年は清水寺が21・2%、嵐山が15・9%と、その差は5・3ポイントと半分以下に縮まっている。
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嵐山復活へ2004年に地元旅館が共同で開発した嵐山温泉や、昨年12月に100万人近くを集めた「京都・嵐山花灯路(はなとうろ)」といったオフシーズン対策や年配層、滞在客を取り込む仕掛けが底上げになったとみられている。
嵐山に追い上げられている清水寺だが、これはあくまで訪問率の話。市内観光客数が増えているため、拝観者数は昨年度、過去最高の500万人台に乗った。同寺は「嵐山の人気が再び伸びてきたことは京都観光の底上げにつながり、非常に喜ばしい」と余裕をみせている。

嵐山人気、清水寺に迫る 京の観光地 首位争い白熱(京都新聞)
まず考えたのは、どちらがトップかと争っているということは、観光客の奪い合いになっているということなのかということです。ゼロサムゲームであり、その中で京都内の地域間競争をしているということなのでしょうか。
清水寺のコメントからもうかがわれますが、それよりパイを大きくする工夫を京都市全体でする必要があるように感じます。1泊で帰る人に2泊してもらうとか、年に1回来る人に2回、3回と来てもらうようにするということです。
でも、景気も悪くなってきたし、こういったゼロサムゲームもある程度必然なのかなとも思わなくもありません。
それに加えて考えたのは、記事では直接言及はないですが、京都観光のスタイルがかわってきたのではないかということです。京都市内の観光名所同士で観光客を奪い合うというより、それ以外の場所に観光客が流れているのではないかということです。
もちろん観光名所も訪れるでしょうが、最近、街中をぶらぶらする観光客が目立つような気がしてます。路地裏の古い店の前で観光客がたむろする光景をみますし、そういった観光客向けのガイドブックも出ているようです。京都を訪れる観光客は必ずしも嵐山のような観光名所を目指すばかりではなく、違った楽しみ方を志向しているのではないかということです。
京都市内でどの観光名所がいちばん観光客を集めているなんてことを追求してもあんまり意味がないのかもしれません。観光客を受け入れる側としては、むしろパイを大きくすることに心を砕くべきでしょう。そして、観光客の消費性向をもっと探るべきでしょう。観光名所に行こうが街中をぶらぶらしようが京都を訪れていることにかわりはありません。京都を訪れる観光客がどういうところに時間を費やして、どこでお金を使っているのか、詳細に調べてみることがまずは有用ではないかと思います。