ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

あちらを立てればこちらが立たず 同志社移転

大学側の責任ではないとはいえ、こういう事態になることは目に見えていたような気もします。

来春からの同志社大の学部移転で京田辺校地(京都府京田辺市)から今出川校地(京都市上京区)へ1万人近い学生の移動が始まるが、今出川校地周辺の学生用住居の確保が進んでいない。地権者には「特需」のはずが、景観規制の強化や資材高などで新築の動きは鈍く、大学近くの物件は学生の争奪になりそうだ。

同大学部移転、学生住宅足りる? 今出川校地、マンション新設進まず(京都新聞)

京都は大学の街だといわれています。市民の10人に1人は学生です。記事で書かれている事態は、京都が今後どういった道を歩むのかという方向性の中で、京都を特徴付けるであろう大学の位置付けがはっきりしていないことを示す事象なのではないかという気がします。

京都の街にとって景観保全は何よりも優先する事項です。高いビルは建てられないわけですから、土地利用は制限されます。

(過去エントリー)無粋だけじゃない

その制限を嫌って市内の大学は郊外や滋賀県に新キャンパスを設置しました。大学の街だからといって大学だけが特別扱いされたわけではなかったのです(もっとも最近は京大のように特例もあるんですが)。

今夏には京都市がコンビニの深夜営業自粛を求めるという問題もありました。

(過去エントリー)温暖化防止+景観保全

学生に夜更かしはつきもの(?)です。学生の街ならコンビニが夜開いていれば便利かなとも思いますし、学生のバイト先としていいような気もするんですが、ここでもある種の齟齬が出ているような気がします。

そして、今回の記事にある学生の住居についてです。

いまどきの学生ですから、住居といえばワンルームマンションでしょう。親元を離れて京都でひとり暮らしをする学生も多いでしょうし、そういった学生を対象に住居を供給することはインフラ整備のひとつといえるでしょう。

それなのにワンルームマンションを規制する動きが市内で出ています。

(過去エントリー)ワンルーム規制−理屈じゃない

この中で私は以下のように書きました。

もうひとつは、京都が大学の街であることとの整合性です。ただでさえ、近年、大学が市外に流出している現状があります。ひとむかしの下宿ならいざしらず、いまどきの学生は皆、ワンルームに住んでいると思いますが、そういった学生の住環境整備との整合性はどうなのかと。大学を卒業すればまたどこかに移っていく可能性が高いであろう学生に定住性を求めるのはどだい無理だという気がします。そういった居住者は考慮されない施策だということでしょうか。

まさにこの問題がいま持ち上がっているのではないかと思います。

もちろんワンルームを規制する理屈もわからないではありません。住民の方々もお困りなのでしょう。しかし、誰かが困るからその解決法を示すと、その解決法のために不便を被る人が出て、またそれに対する解決法が必要になります。モグラたたきのようなことになっているといえないでしょうか。

大きな方向性を考え、その中で対立するさまざまな問題を調整・解決する知恵が必要な気がします。「京都は景観保全が大切なんだ。他はどうでもいい」というわけではないはずで、実際、いくらか努力はされているのでしょうが、まだまだ課題は多いのではないかと思います。

あちらを立てればこちらが立たず、みたいなことなのでしょう。なかなか難しい問題だなという気はしてます。