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ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

京都人は「オール京都」がお好き

京都の人からみれば「何、あたりまえのことを書いてるんだ」みたいな感じかもしれませんが、他都市からもアクセスいただいているようですし、京都マメ知識のひとつとしてご紹介します。
先日、「京都 知恵と力の博覧会」(仮称)の記者会見がありました。
http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000058010.html
この博覧会については稿をあらためて触れたいと思います。会見のHPを読んでいて面白かったのは京都商工会議所会頭が同じ表現をしつこいぐらい乱発していることです。ちょっと長いですが、再録します。

立石会頭
私からは,今話がございましたように,今回2つの事業につきまして,共同発表に至る経過につきまして説明をさせていただきます。昨年の12月25日に京都経済の安定成長を図るためのオール京都でこの難局に立ち向かう決意を示しました「中小企業等の経営安定と雇用の維持・確保のための緊急アピール」を地元の経済団体,あるいは,労働者団体そして行政機関が一体となり取りまとめたことは御存知のとおりでございます。その後具体的に雇用機会をどのように創造していくかということにつきまして, 山田知事,市長と私の三者で二度にわたり協議を致しました。緊急的な雇用につきましては政府の二次補正予算に盛り込まれております特別交付金を活用しまして,具体的な取組を進めていこうと協議を今始めているところでございますが,京都としては,世界全体が暗いイメージに陥っている中で,何か皆が元気なるようなイベントはできないものかと考えました。私は100年に一度と言われておりますこの不況を,苦難と役割を分かち合いながら乗り切って,明日の活力ある京都経済を目指さなければならないと考えております。そのために今年はまず足元を固めるための1年として,金融,雇用,観光という「3つのK」を緊急対策として掲げ,推進していくことを年初に申し上げたところでございます。本日発表させていただく「京都 知恵と力の博覧会」,まだ仮称でございますが,この事業は行政,企業,市民といったオール京都で取り組むことによりまして,不況の中で落ちこんでおりますマインドを向上させることに繋がるとともに,「3つのK」のうちの二つ,すなわち新たな観光需要の掘り起こしや観光面での新たな雇用の創造を可能とする事業となることを期待しております。
 また,二つ目の「KYOTO地球環境の殿堂」につきましては,京都議定書誕生の地として,京都イコール環境というイメージが世界で定着していますこともあり,2012年第一の約束期間の終了後も環境の都市として,世界にアピールしていくことが必要であろうと,これも三者の間で意見が一致しまして,これもオール京都で取り組むこととなりました。私は環境につきましてオール京都でビジョンを持つことが重要であると考えております。この事業は,地球環境の殿堂というモニュメントの下で,京都全体で一体となって,環境に取り組む動機付けになるのではないかとこのように期待しております。京都経済界としましても持続可能社会への社会変化にいち早く対応できる,いわゆる環境対応経済への変換を推進していく必要があると考えております。そういった意味におきまして,この事業も将来に向けた産業構造を,環境をキーワードとして変革することにより,新たな雇用機会の創造への取組であるといえるのではないかとこのように思っています。また事業内容につきまして,詰めきれてない部分もございますが,これから山田知事,門川市長にそれぞれの事業の概要を説明いただきますので,マスコミの皆さんにも本事業の趣旨を御理解いただきまして,オール京都の一翼を担う立場としても御賛同,御協力賜りたいと思いますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。以上でございます。

「オール京都」ってなんだ?と疑問に思われる方も多いでしょう。一般的には「京都全体」「京都の総力をあげて」ということかと思います。大体はこの会見に出ている3者、すなわち京都府、京都市、京都経済界(京都商工会議所)を指す場合が多いようです。
京都の行政、経済界が手を携えて課題に取り組む。まことに結構なことです。
結構なことなんですが、なぜ立石会頭はしつこいぐらいに「オール京都」と連呼しなくてはならないか。こう連呼していかないと3者がまとまっていかないからです。ふだんまとまりがないことの裏返しといっていいかもしれません。ものごとに対してさめた感覚がある京都人の気質も影響しているのではないかとも感じます。
京都で同じような表現として「府市協調」も興味深いですね。都道府県とその中にある政令市というのはだいたいしっくりいかないものです。京都も例外ではありません。
本来、協調が実現しているのであれば、協調をとなえる必要はありません。「府市協調」をお題目のようにとなえていないとうまくいかないという現状があるということなのです。
さらにもうすこし外に目を向けると「オール関西」という言葉もあります。京阪神では大阪が規模も大きく兄貴分的な存在でしょう。では京都や神戸が大阪に従う形で3都市がまとまるかというとなかなかそうはなりません。とくに京都は難しい部分があると大阪あたりからはみられているようです。だから「オール関西」が出てくるわけです。
オール●●という言葉は要注意です。
要するに、対象とされる団体が必ずしもしっくりいっていないことを裏返して示唆する言葉なのです。しっくりいっていないにもかかわらず、そのあたりの関係をなんとなくスルーして協力関係を強制的につくらせる魔法のような言葉だということです。
「オール●●」は団結のために必要な言葉なのです。使われているということは現状では必要だということでしょう。ということは、この言葉があまり使われなくなったときにはじめてオール●●体制が実現するということかもしれません。
こうやって書いてくると、京都の府、市、経済界は仲たがいばかりしているように受け取られるかもしれません。実はそうではないのです。本当にオール京都になるときもあります。経済界が物理的援助をして、府、市どちらかがもう一方を応援する。選挙互助会としてのオール京都は本当に強力です。