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脱力と諦観でつづるおっさんの日常

栗東の再現か 嘉田知事インタビュー

16日の日経朝刊に出ている嘉田由紀子滋賀県知事のインタビューがなかなか面白いので紹介します。とくに最後の部分です。

嘉田由紀子・滋賀県知事は15日、日本経済新聞の取材に対し、国土交通省が3月に整備計画の凍結を表明した大戸川ダム(大津市)を巡り、将来の建設に含みを残したことについて「分かりにくい」と批判、国と府県の間で凍結を確認する文書の交換を求める考えを明らかにした。
――ダムの形態を含め整備計画が未定の丹生ダム(滋賀県余呉町)が次の焦点だ。
 「まだ建設で合意してない。同ダムの1番の目的は異常渇水対策。近畿圏は過去100年、水源の水不足で断水になった経験がない。琵琶湖の水位を保つためダムをつくる必要性があるのか。国は私との議論を避け、私の任期終了を待って計画を進めると思う」

http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news006060.html
気になったのは最後の「(国は)私の任期終了を待って計画を進めると思う」というくだりです。一読すると、なにか他人事のように聞こえます。来年あたりに任期満了がきて、退任が決まっている人の言い方のような感じがします。
でも実際は違います。嘉田知事の就任は2006年7月です。ということは嘉田氏は4年の任期を終え、来年夏には知事選が行われることになります。嘉田氏は再選出馬の意向をまだ示していないと思いますが、出馬は確実でしょう。
もし出馬したら、嘉田氏をこころよく思っていない勢力は対抗馬を応援するでしょう。ダム問題についていえば、国交省関係は対抗馬を応援することになるのでしょう。嘉田氏は言外に国交省関係者をけん制しているようにも読めます。
加えていえば、丹生ダムについて「まだ同意していない」との一言が意味深です。
嘉田氏以前の歴代知事は丹生ダムを推進する立場をとってきたはずです。とりあえず嘉田氏には「行政の継続性はどうなるんだ」と突っ込みたくなります。それはおくとして、同時に「あまりに似たようなことだな」といった何か既視感のようなものにとらわれます。3年前の知事選を思い浮かべずにいられません。
前回知事選で嘉田氏が新幹線栗東駅建設の白紙撤回を公約に掲げ、「もったいない」キャンペーンで現職を破って初当選したのはみなさんもご存じでしょう。選挙の争点を個別テーマに絞りこんで有権者にその是非を問う住民投票型の選挙戦術です。嘉田氏は来年の知事選で前回選挙の再現を狙っているとは考えられないでしょうか。
テーマはインタビューにあるとおり、丹生ダムをはじめダム建設問題です。
「同ダムの1番の目的は異常渇水対策。近畿圏は過去100年、水源の水不足で断水になった経験がない。琵琶湖の水位を保つためダムをつくる必要性があるのか」というあたりはたしかに説得力があります。「もったいない」のフレーズを再び登場させて、有権者に「大型ダムはもったいない」と呼びかけることができます。「私はダム建設に反対します。国交省は私が落選すれば、ダム計画を進めます。ダムが税金の無駄だと思う方は私を再び知事にしてください」と訴えることができます。
実は前回選挙でも嘉田氏はダム計画の見直しを公約に掲げていたと思います。しかし優先順位はトップではありませんでした。来年はダムがトップに浮上してくるのかな。というか、嘉田氏側は選挙の目玉にしようとしているのかな、という感じがします。その意味では、この日経のインタビューはいいところを突いているのではないかと思います。
※「もったいない」とともに「ダムはムダ」とかシンプルでいいのではないでしょうか。
(過去エントリー)昔の名前で・・それはやっぱ無理