読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

キャラ全開 山崎副市長

私、けっこう京都市の地下鉄債務問題に関心がありまして、過去に以下のようなエントリーも書いております。
イケてるのか 京都市営地下鉄経営健全化計画案(骨子)「京都×地下鉄増収&スタジアム」大作戦地下鉄増収 意味不明
その関係で京都市のHPをみてたら、面白いものをみつけました。
http://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/page/0000056727.html京都市バス・地下鉄事業経営健全化有識者会議について)
会議の議事録、とくに、4月に総務省に戻られた山崎前副市長の部分が面白いので紹介したいと思います。
詳しくは京都市のHPをみていただきたいのですが、京都市の地下鉄の赤字が大変なことになっていまして、これをなんとかせねばならん、ということで上記の経営健全化有識者会議が発足したわけです。
第1回会合(1月29日)で門川市長はこう力説します。

門川市長
一方,地下鉄も同じように交通局挙げて努力し,京都市も一般会計から様々な形で助成し,国も同様に様々な取組をしてくれています。しかし,年間でいいますと収入が254億円,支出が413億円,一年で159億円の赤字が発生しています。「経営のやり方が悪いのではないか」ということをおっしゃる方がおられますので,随分,私自身も関係者から聞いて勉強させてもらったのですけれど,支払利息だけで百数十億円,5,000億円を超える借金を抱えています。これまで地下鉄も様々な改革をしてきましたので,人件費は支出計の413億円のうち62億円,15%になりましたが,なお改革していこうということです。これは,わが国における地下鉄経営の根本的なところに課題があるように思います。147万人都市に地下鉄はなくてはなりません。しかし,147万人都市であっても地下鉄を経営していけない構造になっているのではないか。こういうところについても専門家の皆さまに議論していただきたいと思います。交通局をはじめ京都市挙げて今,地下鉄の増収・増客運動に取り組んでいます。具体的には駅ナカビジネスをどんどんやっていこう,あるいは経費を削減していこうという取組もしていますが,そうしたことについては限界を超えた課題もあるのは事実です。そして,財政健全化法が施行されます。
地下鉄は土地を買い,トンネルを掘るというのは50年,100年もつものであります。それを30何年間という短期間で,建設費(借入金)を返していかなければならないという厳しい問題があります。烏丸線は開通して30年くらいでほぼ収支がトントンになった。東西線も40年経てばトントンになる。しかし,その間が大変なのです。そこで借入金の利息を今日的な利息に借り換えられるよう国の制度を改革してほしい。地下鉄は50年,100年もつものなのですから,長期に渡った返済計画となるように国に対しても改善を要求していかなければならない。そういうことも含めて皆さんのお知恵をいただきたい。

原文はもっと長いですが、「わしら京都市は赤字をなんとかするよう努力してるけど、わしらの力ではどうにもならない部分がある。それについては国に助けてもらわんと仕方ないやん」ということではないかと思います。
親分(市長)はこういうスタンスなんですが、これに対し、市長を補佐すべき立場にある山崎副市長です。さすが官僚だからというんでしょうか、大所高所の立場からご意見を開陳されます。

山崎副市長国との関係では,国は京都市の地下鉄をいかにうまく活用してもらえるかということを考えています。京都市地下鉄の構造的問題(資料4のP4)では,烏丸線については30年間で収支均衡しています。あわせて9都市の地下鉄で京都市東西線以外(資料4のP5)は,今の仕組みで,まあなんとかうまくやっているようです。京都市の地下鉄では東西線がネックになっていて,烏丸線に関してはなんとかうまくやっている状況にあります。もう一言付け加えますと,国制度の活用(資料4のP7)をしているのは,経営健全化計画をもっている4つの事業者ですが,京都市以外の都市は平成25年度までで卒業してしまい,京都市だけが卒業できず追試を受けなければなりません。委員の方々には追試のアドバイスをいただきたいのがこの会の大きな目的です。川本委員からも冒頭,厳しい指摘をいただいきましたが,正直申しまして,これまで交通局の問題だと捉えがちでありました。今は門川市長になり交通局だけの問題ではなく,全市的な問題であると認識しています。大きく構えるべきであるということで,有識者会議を開催しております。組み立てとしては,今回,実務ベースで計画案をお出ししていて,若干思いの違いもありうるかもしれませんが,国への要望等にご提言を取り入れていきたいと考えております。
・・・
南委員と西村委員より金利の話がありましたが,立場を変えて貸し手としての国としての立場を考えてもらえれば,比較的理解がいただけるかと思います。今の原資は,かつて簡保や郵貯という庶民から集めたお金でありました。貸し手からみれば,預金者にお返しをするという収支計算をした上で,セットしていた金利であります。計画どおりではない形で安い金利に切り替えていくと,貸し手としての国が預金者に返済する場合に影響が出てくるというロジックになっておりまして,これまでは,なかなか借換ができていないということでした。今はその構造が変化してきたというわけでありまして,それを前提に金利の大きいものを徐々に切り替えていく過程の段階でございます。南委員指摘のとおり,このグラフの山自体が金利を実勢水準に合わしていければ,もう少し下がるのではないでしょうか。こういうシミュレーションも今後やっていこうと思います。実は(資料4のP13,14の)大きな課題は,今は山になっていますが,市長が冒頭に申しましたよう地下鉄50年,100年をかけて収支をとっていくものであり,この山が50,60年に収束をしていくので,よいのではないかということですが,この試算は,かなり大きな前提を入れています。5年に1回の運賃改定や旅客数を5万人増やすというかなり高いハードルを置いた上で山になっています。何が問題かといいますと,1,000億円を超えるロットになりますと,山が山にならない可能性があるのではないのでしょうか。市長が冒頭で申しました財政健全化法という法律で,京都市の場合500億円から1,000億円を超えるような段階でイエローカードからレッドカードになり,レッドカードが出されると夕張市と同じで財政再生団体となってしまいます。そこが一番大きな地下鉄のネックになっております。

一口でいって、市長の補佐というより、国の代弁者的な発言が多いような気がするんですが、こういうもんなんでしょうか。
第2回(2月18日)も興味深い。

山崎副市長お手元の資料の中で第1回の議事録のP15あたりに前回お話した内容があるので,ぜひご参照いただければと思いますが,高い金利が原因で,先程からこういう収支の山になっている状況はおよそ民間企業では考えられないというお話もありました。しかしながら,こういう状況は建設をする段階である程度わかっていたことで,突然の話ではないということです。むしろ計画と変わってきたのは,乗客が当時の計画ほどには,残念ながらお乗りいただいていない。また,当初,想定した建設費より結果的に高い額になってしまったというのが非常に大きな話だろうと思います。建設の時に旧運輸省が認可をし,起債を旧自治省が認めた際には,収支均衡するという形での計画がありましたが,残念ながら計画が現実と乖離しているという状態が京都市の場合,特に大きかったということです。建設や運輸制度についてもいくつかご意見がありましたが,資料2のP8で他の8事業者とほぼ同じような運賃体系で,京都市以外の地下鉄は(京都市と同時期に建設をしていた自治体も含まれる。),何とかやりくりをしていて,こういう大きな山になる状態になっていません。極論すれば,京都市の地下鉄だけが特殊な例になっています。ですので,今後,国とどのような協議をしていくかは,京都市だけが独りで頑張らなければならない立場になっているということです。

まず「前回お話した内容があるので,ぜひご参照いただければと思いますが」という部分です。一般にこういうことを官僚が会議の席でおっしゃる場合は「前にも言っただろ。何度も説明させるなよ」とお怒りの場合が多いのではないかと推察します(山崎氏がどうだったかは私はこの場にいませんのでわかりませんが)。
言われている内容は至極まっとうなことなのではないかと思います。ただ、なんて言うか、評論家的というか、そんな感じに読めるんですが、違いますでしょうか。
案の定、このあと委員の一人からこう突っ込まれています。

委員
計画の時から利率はわかっていたというお話ですが,経済状況の変化もありますから,最初からわかっていたから全く国は知らないというのは,どうかなと私は思います。例えば道路関係で申しましても,今,全国的に有料道路事業で作った地下駐車場の経営は厳しいという話もあり,やはり国が何がしかの資金を提供してくれた事業の返済計画はかなり厳しいのが一般的だろうと思います。従いまして金利が社会通念上,許されない範囲まで高いとは申しませんし,また前回も金利についてお話をされましたので,副市長の言われたことは重々,承知しておりますが,地方自治体の立場からすれば,できるだけ安い金利のものに借り換えていくことが必要だろうと思います。

私は山崎氏を直接存じ上げませんが、議事録を読む限りでは、かなり率直なお人柄なのではないかと思います。副市長という立場なんですから、市長の意を受けてある程度、論を展開すればいいのかなと思いますが、あんまりそれが感じられません。仮に、会議でこう発言していたとしても、HPで発言を公開する段になってから筆を入れて微妙に修正することもあり得るかと思いますが、そうした雰囲気もありません。
官僚というのは、出向すれば任地でその職務に没頭し、また別の任地に行けば、そこで仕事をこなすといったイメージがありますが、この方の場合は本籍地(国)の論理があまりに強く、ストレートに発言に反映されている感じがします。議事録にある発言は今年1、2月のころですから、すでに総務省への帰任が決まっていて、あんまり市長に気をつかう必要がもうなかったのかな、などと想像してみます。総務省の幹部も「山崎君はちゃんとわしらの理屈を伝えとるかな」なんて感じで京都市のHPをチェックしていたりするかもしれませんから、それに応じた発言をする必要があるのかなとも思います。おそらく出向がどうこうというより、組織(国)にあまりに忠実な方なのでしょう。
最後に、青字にした「山が山にならない可能性がある」ってのは二重の意味で重大発言ではないかと思います。おそらく、借金返済グラフのカーブのことを言っていて、順調に返済できれば、年月がたつごとに借金額が減ってくるから、カーブが右肩下がりになって本来は山のかたちになるはずだが、これだけ借金が巨額になってくると、順調に返済できなくなって借金が雪だるま式に増えていくおそれがあるということを言いたいのだと思います。
ひとつは、審議会でこう発言する以前に、副市長としてもっとちゃんとした計画をつくらせるべきなのではないかということです。いちばんの当事者である市幹部に評論家的にこう言われてもなあ、という気がします。
もう一点は、評論家的とはいえ、おそらく山崎氏の言っていることは的を得ているということです。私もそう思います。何年か経って地下鉄がたいへんなことになったときに、「前に官僚の副市長がこんなことを言ってたよなあ」といって皆が思いだすのが「山が山にならない」です。京都市はほんと、どうするんだろうか。
それはさておき。国から地方自治体に出向してくる官僚の皆さんは「大過なく・・」の典型でしょうし、そのキャラが市民に浸透するというのはなかなかないことかと思います。でも、細かくみていればお人柄がしのばれるものです。今後もチェックしていきたいと思います。
(過去エントリー)副市長は「たすきがけ」