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中か外か、それが問題だ エキナカスイーツ

莫大な累積債務を抱える京都市交通局ですが、いろいろと考えていらっしゃるようです。

地下鉄駅限定のスイーツ開発 京都市交通局、販売業者募集
京都市交通局は、今秋に地下鉄の駅限定で発売する「地下鉄オリジナルスイーツ」を開発、販売する事業者を募集している。
鉄道会社が乗客増に向けて駅限定で菓子を販売する取り組みは全国に広がっており、市交通局も「駅ナカビジネス」の一環として企画した。
商品は和洋を問わず、「京都らしさ」がイメージされ、2日以上日持ちすることが条件。採用された場合は地下鉄3駅での出店が予定されている。パッケージは市内の芸術系大学の学生によるコンペで決まる。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009071500147&genre=A2&area=K00

交通局の広報文はこちら。
http://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/page/0000064682.html
今回の目的は京都市交通局にとって増収を図ることに尽きます。その方法は、店を出させてショバ代を取る。スイーツ目当ての乗客を増やす―の2つがあるでしょう。
ひとつ思ったのは、店舗は改札の中につくるのか、外につくるのかということです。広報文では直接は言及していません。
改札の中にある場合、当然、きっぷを買わないと中に入れないわけです。私が思いつくのは、JR京都駅の改札内にあるワッフル店です。
家族が好きなので、たまに買います。私は通勤にはJRを使わないので、なんかの折にJR京都駅を利用した場合は「あ、そういえばワッフルを買っていこう」となります。消費者からみた場合、改札の中にあることがプレミア感(ちょっとおおげさですが)を高めているような気がします。
交通局からみた場合、改札の中にあろうが外にあろうがショバ代をとることにかわりありません。他方、乗客を増やすという点でいえば、改札の外なら客は駅まで来てスイーツを買ってそのまま帰るでしょうし、中ならきっぷを買って改札の中に入ることになります。きっぷを買ってもらえれば運賃収入ということになるでしょう。
そう考えると、人気のあるスイーツを開発して、なおかつそれを目当てに地下鉄のきっぷを買ってもらうということは、かなり壮大な計画だということがわかります。人気が出るかどうかに関しては、商品力自体はもちろんですが、改札の中にあるか外にあるかのプレミア感も多少は関係してくるのではないでしょうか。
もうひとつ、改札の外にある場合を考えてみましょう。
仮にスイーツが人気が出たとします。その販売場所の駅まで地下鉄に乗って行き、改札を出てスイーツを買い、また地下鉄で帰るという人も出てくるでしょう。そうなれば乗客は増えるということになります。
ただし、改札の外の場合、中心部の駅に出店したのでは、自転車で買いに行く人もいるでしょうから、必ずしも乗客増につながるとはいえません。国際会館前とか醍醐など郊外駅に設けたほうがいいことになります。一方で、郊外駅は乗客が少ないでしょうから、そういうところに出店してくれるのかなという疑問も浮かんでくるわけです。交通局の定める出店対象は1日1万5000人以上の乗降客の駅となっていますから、おのずと対象は絞られてきます。
いずれにせよ、スイーツの人気が出ないと店はもうかりませんし、交通局としてもプラスになりません。京都市の広報文でも、公募参加条件として「手数料として売上の10%以上を交通局に納入すること」となっています。売り上げがアップするほど交通局の収入が多くなる仕組みになっているわけです。
人気が出る魅力あるスイーツにするためには、商品開発が重要なのはもちろんのこと、いかに人気を出していくかの仕掛けづくりを店側だけでなく交通局自身も考えていくことが求められるのではないでしょうか。
追記
過去の出店例をみていると、どうも改札の外みたいですね。そうすると、乗客増はあんまり考えていなくて、「手数料として売上の10%以上を交通局に納入すること」あたり、要するに「歩合制のショバ代」が眼目なんだろうなという気がしてきます。
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