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リニアを停めて 京都経済同友会提言

京都経済同友会らしいなかなか大胆な提言がありました。

京都経済同友会が提言 「京都にリニアを」
7月29日22時23分配信 産経新聞
京都経済同友会は29日発表した緊急提言の中で、リニア新幹線を京都に乗り入れるよう求めた。京都の経済団体が公式にリニア新幹線の誘致を表明したのは初めて。
全国新幹線鉄道整備法」では、リニア中央新幹線のルートは京都を外れており、京都の政財界からは地盤沈下につながると危惧(きぐ)する声が上がっている。今後、他の経済団体や自治体を巻き込んだ誘致運動に発展するか注目される。
建設主体のJR東海は、平成37年に東京−名古屋間を開業させ、将来的には大阪まで延伸される見込み。ただ、同整備法では、名古屋以西の経由地は「奈良市付近」と定めている。
この日、京都同友会が開いた記者懇談会で、上村多恵子・都市問題研究委員会委員長(京南倉庫社長)は「今から議論を盛り上げたい。名古屋−大阪を結ぶ線とは別に、名古屋−京都を結ぶ線を作ってもらえないか。ある程度、地元負担をしてでもやる意気込みは大切」と語った。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090729-00000621-san-bus_all

リニア新幹線のルートに関しては、JR東海が東京―名古屋間で直線的なルートを打ち出しているのに対し、長野県の自治体で諏訪などを通って大回りするルートを要望して話題になった(というか物議をかもした?)経緯があります。その状況の中で京都経済同友会はよく提言できたなと思います。正直なところ「度胸あるな」と思います。
ひと昔前、国鉄時代なら、鉄道建設のルートに関係者が口をはさむというのはあたりまえのことだったでしょう。しかし、状況はかわったと言わざるをえないと思います。前身が国鉄だとはいえ、JRは今は私企業だからです。
おそらく京都経済同友会は長野での議論もJRが私企業だということも承知したうえで提言しているのだと思います。それは上村委員長が「名古屋−大阪を結ぶ線とは別に、名古屋−京都を結ぶ線を作ってもらえないか。ある程度、地元負担をしてでもやる意気込みは大切」と言っていることからも察せられます。ひとつは、場合によっては本線とは別に支線でもいいよ、と言っていることです。もう1点は「ある程度、地元負担をしてでもやる意気込みは大切」と地元負担に言及していることです。
ただ、後者について、地元負担の中身については触れていません。同友会のメンバーがポケットマネーで出すわけでもないでしょうし、行政が出すということになるのでしょう。その辺、京都府とすり合わせができているのかそうでないのか、興味あるところです。「地元負担をしてでもやる意気込みは大切」というのも微妙な言い方で、単にぶち上げているだけなのかなとも読めなくもありません。
そもそもリニアは危機管理上、東海道新幹線と別ルートにすることから出発していたと思います。そうすると、起点・終点以外では東海道新幹線となるべく停車駅が重ならないほうがいいということになります。ルートが直線的なほど基本的には建設費もかからず、運転した場合の所要時間も短いわけで、それなりに合理性があります。このあたりはJRの主張そのものといえ、提言を実現させようとすれば、この合理性を上回る論理展開が求められることになるでしょう。
そのへんはどうなのか。京都は歴史都市だから、多くの観光客が訪れるから、あたりになってくるのでしょうか。結局は「京都は他の地方都市と違って特別だから」という論を展開するしかないのかもしれません。
ただ、問題は、そう主張することで近隣の府県を味方にして議論を大きくしていけるのかどうなのかということだと思います。これを言い出すとまた他府県から「京都がなんか言ってるよ」と逆に眉をひそめられることになりはしないのか心配です。なかなか難しい話だとは思います。
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