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脱力と諦観でつづるおっさんの日常

黒船が来た ミシュラン発売

前に当ブログでも取り上げましたミシュランの京都・大阪版がいよいよ発売になるようです。

ミシュラン京都・大阪版、10月発刊 旅館の快適さマークで初評価
世界的権威を誇るレストランの格付け案内「ミシュランガイド京都・大阪」の発刊日が10月16日に決まり、出版元の仏タイヤメーカー、ミシュラン社が1日発表した。日本の伝統文化をわかりやすく伝えるため、星などの既存マークに加え、初めて旅館の快適さを示すマークを採用する。
京都・大阪版は、飲食店と宿泊施設200〜220店を紹介する。飲食店は、匿名社員が食材の質や値段設定などを調べ、結果を3段階の星マークで示す。店の同意がなくても掲載する。
旅館の外観をデザインした旅館のマークは、快適さを5段階表示する。庭園を評価する石灯籠(どうろう)のマークも新設する。旅館の料理が評価対象になる場合は星マークも付与する。初版は15万部を発行する予定。2415円。
京都市中京区の京都商工会議所で記者会見した総責任者のジャンリュック・ナレさんは、一部店舗に一方的評価への反発があることについて「レストランは毎日お客さんに評価されている。判断されたくないなら仕事を変えるべきだ」と指摘した。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009090100093&genre=B1&area=K00

以下の過去エントリーをなぞったような話になりますが、再び書きます。
(過去エントリー)
「けったくそ」だけでは ミシュラン調査「違和感」発言に違和感 ミシュラン続報
思うのは、ミシュランは格付けを慈善事業としてやっているのではなく、営利事業としてやっているということです。2400円を払ってもガイドブックを買いたい人がいるとミシュランは考えている。本を売っていくことが商売として成り立つと考えているということでしょう。
裏返していえば、そういった情報を欲している人がいる。ミシュランからの情報提供を求めている人がいる(と少なくともミシュラン側は考えている)ということです。
要するにニーズがあるということでしょう。もし観光都市・京都でレストランや旅館の情報ニーズがあるのだとしたら(というか実際あると思います)、それは外国の企業ではなく、観光政策の一環として本来、行政が主体となって情報提供していくのが筋なのではないかと思うほどです。
ミシュランをめぐる議論の中では「外国のタイヤメーカーに京都の食文化がわかるのか」といったものもあったように思います。
それでは、日本人が、もっといえば京都人が評価すれば、京都の料亭はその評価を受け入れるのでしょうか。
もちろん、答えは「ノー」でしょう。
たとえば門川市長はこう言っています。

レストランの格付け本「ミシュランガイド」の京都・大阪版の発刊決定を受け、日本ミシュラン社の社長ら3人が7日、京都市役所を訪れ、門川大作市長と会談した。発刊決定が京の料理界に波紋を広げるなか、門川市長は「客観的評価は歴史ある店には違和感がある」と話した。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009040700185&genre=I1&area=K00「違和感」発言に違和感 ミシュラン続報

「客観的評価は歴史ある店には違和感がある」というより、ズバリ「他者の評価を拒絶するのが京都の文化だ」ということなのではないかと思います。
外国人にも、東京人にも、地元民にも、とにかく客観的評価はしてほしくないのです。ランキングなどはもってのほかです。
それはなぜか。
前にも書きましたが、仲間うちですでに序列ができあがっているからでしょう。その序列と客観的評価の間で齟齬が出た場合、いろいろと不都合があるということでしょう。
話はかわりますが、今回のミシュラン本販売のパブリシティー戦略というのはなかなかのものだと思います。京都商工会議所に責任者が乗り込んできて「レストランは毎日お客さんに評価されている。判断されたくないなら仕事を変えるべきだ」という。不遜な感じもしますが、わざと波風を起こして話題づくりをしようとしているのではないかと思います。やっぱり向こうのほうが一枚上手なのかな。