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「よくまとまっている」 京都市営地下鉄健全化計画

地下鉄と市バスの経営改善策を協議 有識者会議 評価で一致も(2月13日、京都新聞)
京都市営地下鉄と市バスの経営改善策を協議する有識者会議が12日、右京区のサンサ右京であった。市が策定した経営健全化計画については「評価できる」との意見で一致したが、一部委員から「まちづくりの中で交通政策の位置づけが弱い」との苦言も出た。
地下鉄と市バスは、国が定める経営悪化の基準(資金不足比率20%)を大きく上回り、昨年10月に「経営健全化団体」に指定された。市は有識者会議の意見を聞きながら、地下鉄では2018年度に健全化団体から脱却を目指す計画策定を進め、10日に計画を公表した。
会議では、出席した9人の委員全員から「現実的で前向きな内容」「よくまとまっている」などと肯定的な意見が出た。
一方、委員の1人は、地下鉄の1日当たり乗客を18年度までに5万人増やす目標について「どうやって増やすのか見えてこないのが(計画の)苦しいところ」と発言。別の委員は「本来は市の都市計画の中に交通政策を位置づけるべきだが、市長の姿勢が弱い」と厳しく指摘した。

このうち

地下鉄の1日当たり乗客を18年度までに5万人増やす目標について「どうやって増やすのか見えてこないのが(計画の)苦しいところ」

については、以下のような京都市交通局の「前科」を踏まえての指摘だろうとおもわれます。

検証・地下鉄(読売新聞)
加えて、今の事態を引き起こした要因として、交通局の見通しの甘さも挙げておく必要がある。
東西線について、交通局は当初、開業時には1日あたり15万6000人の利用が見込め、その後、乗客は増え続け、およそ20年がたてば単年度収支で赤字は出なくなり、25年後には累積赤字も解消できると試算していた。
しかし実際には1日あたりの乗客数が、見込みを2割以上も下回る約11万9400人でスタート。その後、計946億円を投じて、さらに東は六地蔵駅、西は太秦天神川駅へと計4・8キロの延伸が図られたが、それでも依然1日あたり約14万4100人の利用にとどまっている。

これについては以前にいちど当ブログで触れました。
(過去エントリー)
イケてるのか 京都市営地下鉄経営健全化計画案(骨子)
要するに「過去に京都市がたてた増客見通しはことごとくはずれている(見通しを下回っている)。しかも増客は難しい、と一方で認めながら、今回もやっぱり乗客5万人増といった計画をたてている。過去に見通しを誤っている京都市がまた今回増客を打ち出しているが、それはどだい説得力はないだろう」ということです。
しかもすごいことにそのうち2万人はどうやって増やすのか京都市自身も説明できないというじゃないですか。これは予測というより京都市の願望といわざるをえません。乗客5万人増の根拠が実にいいかげんだったということを京都市自身が認めたというのが今回のいちばんのニュースかもしれません。
この見通しをつくった京都市の職員は、自分の家計におきかえても同じようなことをするんだろうか、と疑問です。
実際自分の収入が300万円ぐらいしかなさそうなのに、500万円は稼げそうだと勝手に考え、それを見込んで豪華な車を買ったり、海外旅行にいったりするのでしょうか。
企業経営者なら、どう考えても達成が無理な収益見通しを根拠にしてバンバン設備投資に走るのでしょうか。おおよそ考えられないことです。
それでもこういった増客見通しを根拠にした健全化計画がなぜか「よくまとまっている」との評価を受けているようです。「地下鉄の財政健全化なんてどうせできないんだから、指摘しても仕方ない」ということなのかもしれません。
(関連エントリー)
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