ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

いまのところ自転車は入ってません

4月1日の「きょうと市民しんぶん」に「地下鉄に乗っておくれやす!」との門川市長の一文が掲載されています。例によって地下鉄の赤字を強調し、利用を呼び掛ける内容です。その中に気になる一文がありました。以下引用。

車やバイクで移動すると、『渋滞につかまった』『雨でスリップしかけた』なんて経験はありませんか? 地下鉄なら空模様に左右されないし、時間も読めるし、安全ですよ。

なんだそうです。
京都市の喫緊の課題は地下鉄の赤字問題です。問題解決のためには利用者を増やして経営を改善する必要があります。そのためには京都市の中心部にはマイカーで来てもらわずに、地下鉄を使ってもらいましょう、ということです。「歩くまち・京都」もその一環です。
当欄でなんども触れていることですが、京都市にとってマイカーはいくつもの意味で「敵」です。まず市内の渋滞を引き起こします。二酸化炭素が出るので地球温暖化対策にとってもマイナスです。そして地下鉄の利用者を奪っています。
そう考えたときに、この一文で奇妙なことがあります。車とバイクが並んで扱われていることです。京都市は車と同様にバイクも「敵」だと考えているということです。
そうすると、以下のようなことと矛盾しないでしょうか。
(過去エントリー)
自動二輪は二酸化炭素が出ると思うけど 京都市が市街地駐車場抑制
京都市が自動二輪の駐輪場を充実させる方針なのに対して、このエントリーでは「地球温暖化対策と整合性がないのでは」と指摘しました。加えて、地下鉄の赤字ともバッティングします。「歩くまち」の推進から中心部でバイク駐輪場を充実させると言いながら、一方では地下鉄赤字対策の観点からバイクを車と同列視しています。どっちやねん、ということです。
もう1点は、さすがに自転車は車やバイクと同じようにここには登場していないということです。
京都の地下鉄にとってマイカーだけが敵なのか、というとそうではないというが私が以前から言っていることです。自転車利用も地下鉄利用者アップと競合関係にあるんじゃないの、と思うわけです。
(過去エントリー)
敵の敵は友ならず 自転車政策
ただ、京都市としては自転車を排除するわけにはいかない事情があります。自転車は人力で動くから二酸化炭素が出ず温暖化対策的には好ましいからです。
自転車は温暖化対策からいうと車などと同列に考えることはできないが、地下鉄問題からいうと同類なわけです。温暖化対策と地下鉄問題のどちらを重視するかでその扱いがかわってくるということだとおもいます。
そう考えたときに、要するに現状、京都市の施策としては自転車は「温暖化対策>地下鉄赤字解消」という扱いになっているということでしょう。だから上記の一文にも自転車は登場していないのではないでしょうか。
でもこの状況がいつまでも続くとは思えません。地下鉄の赤字は大変なことになっています。京都市が地下鉄問題をより深刻に受け止めるようになれば、上記の一文に車やバイクと並んで自転車が登場するかもしれません。
注 わたくし自身が「地下鉄赤字対策のため自転車を規制しろ」という考えをもっているわけではありません。念のため。
(過去エントリー)
中心部へは地下鉄より自転車が便利です 御射山自転車等駐車場完成『歩くまち・京都』総合交通戦略に関する一考察イケてるのか 京都市営地下鉄経営健全化計画案(骨子)