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ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

未来予測について考えてみました

(以下、引用)
今後30年の科学技術は? 研究者らの未来予測発表
2031年にはがんの転移を抑える薬が使われ、宇宙観光が可能となる。文部科学省科学技術政策研究所は10日、研究者らの意見を基にした今後約30年で国内に普及する科学技術の未来予測を発表した。
予測は医療や環境など12分野、832課題について実施。技術が社会に普及するとみられる時期を、大学の教員や企業の技術者ら約2900人へのアンケートを通して検討した。1971年から約5年おきの実施で、今回が9回目。
医療関連ではさまざまな組織になる人工多能性幹細胞(iPS細胞)での再生治療が32年に実用化、33年には遺伝子情報などから患者ごとに薬の効果が予測可能となり、内科治療での入院日数を半分にできるだろうとしている。
また、環境関連では1回の充電で電気自動車が約500キロ走れる高性能電池が25年、砂漠の緑化技術が29年、化石燃料に頼らない航空機が38年に、それぞれ普及すると予測している。
2010/06/10 19:45 【共同通信
(引用おわり)
こういうの、昔から好きなんです。
40年前、私が子供のころ子供の雑誌に必ずといっていいほどこの手の「将来実現する新技術」の特集があったように思います。「誰でも宇宙に行ける」とか、子供心にワクワクしたものです。
じゃあ、そのころに「こうなったらいいな」と思ったことが実現しているかというと、正直だいぶ違うなあという気がします。
ひとつは、その当時に「実現したらいいな」ということが実際には実現していない(もしくは普及していない)点。
もうひとつは、逆にその当時には考えもしなかった技術が実現している点、です。
まず、前者について考えてみます。
なんで実現しなかったり普及しなかったのか。
単純に技術的に実現できなかったというのはまずあるでしょう。
もうひとつは、技術的には実現できたけど、「こんなのはもういいや」って皆が考えたのもあるのではないでしょうか。
予測した時点ではそれなりに新技術に対する社会的要請があったのが、その後の情勢変化で需要がなくなったようなケースが考えられるのではないでしょうか。
たとえばコンコルドなどの超音速旅客機なんかは当時からほとんど技術的には完成してたと思いますが、コストとか環境面とか安全面で既存のジェット機にとってかわるにはいたっていません。その当時は「超音速で世界を行き来できたら便利だ」と皆が考えていたわけです。でも、技術は完成しても実際には需要があまりありませんでした。
ひとつは費用対効果でしょう。たかだか2、3時間早く着くのに割高な運賃を払えないよ、ってことでしょう。
規制もあります。当時は環境面での規制はそんなに厳しくなかったかと思いますが、今では重要なファクターです。社会的規範が当時と変わってしまったのだと思います。
要するに、皆が「実現したら便利だなあ」と期待するのと、実際に「じゃあ乗ってみようか」とか「そういうサービスはもうかりそうだからやってみよう」と考えるのにはギャップがあるということです。
「こんなことが実現できたらいいな」と考えるのは簡単なのですが、実現した時点でその技術が社会的に受け入れられるかや社会的な要請があるかというのはなかなか難しい問題だと思います。とくに企業は、そういった目先を読むことが組織の浮沈につながる場合があるからとくにたいへんでしょう。
もうひとつ、「当時は考えもしなかった技術が実現している」について考えてみます。
たとえば個人が携帯できる電話をもつというのは昔から期待された技術としておそらくあったと思います。
一方でコンピューターの発達というのも当然ながらあっただろうと。
でも、たとえば40年前はその2つは別々のものとして考えられていたのではないでしょうか。
コンピューターが発達して、それぞれが結ばれるようになってインターネットが登場して、携帯電話と結びついてスマートフォンみたいなものができるとは、40年前はなかなか予測できなかったのではないでしょうか。
そうやって考えてみると、もしかしたらiPS細胞をしのぐような新しい技術が出てiPS細胞は時代遅れになっているかもしれないし、自動車みたいに個人が好き勝手に移動するような手段の存在はエネルギー効率の点からいって社会的に許容されなくなっているかもしれない。また、もっと別の革新的技術が出てきて環境問題は一挙解決し、砂漠の緑化なんかは見向きもされなくなっているかもしれません。
このへんの考え方の枠組みは以下のページで紹介されています。
(科学技術動向研究センター)
http://www.nistep.go.jp/nistep/thema/sandtf.html