ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

英語教材

今から50年近く前の話です。

わが家に英語教材のセールスがきました。いまでも鮮明に覚えています。私は幼稚園に入るかどうかの年齢だったと思いますが、対応した父母に同席させられました。

たぶんセールスの手口だと思うのですが、「りんごは英語でなんと言うのかな」などと聞いてきます。私が「アップル」と答えると、「この年齢なのにすごいねえ」などとおだてられ、そういうやりとりが何回かあったかと思いますが、今度はセールストークが父母に向けられました。「息子さんはきっと英語の才能がありますよ。ぜひうちの教材で才能をのばしてください」と購入を持ち掛けてきました。

セットは英語の百科事典や、テキストを電気ペンで指すとランプが点灯して正答かどうかがわかる問題集などです。この電気ペンが面白かったからだと思いますが、父親が「ちゃんと勉強するか?」と聞くのに対して、私は「やる」と返事をしてしまいました。

両親も内心は息子に断ってほしかったんだと思いますが、なにせ教育のことですし、子どもが「うん」と言ってしまった以上、買わないわけにもいかなくなったのでしょう。なんと購入に至りました。両親に聞いたことがないので値段ははっきりとわかりませんが、当時で10万単位だったのだろうと推測されます。

最初、すこしは取り組んだものの、幼稚園くらいの子どもが自分で進んでずっと続けるわけがありません。その後は無用の長物になり、半世紀近くが経過しているわけです。

いまでも百科事典は家の本棚を占拠しています。これを見るたびに私はほんとに両親に申し訳ない気持ちになります。幸い、妻や子どもは「あの百科事典はなんだ?」と突っ込んでこないので、わたしの威厳もいくらか保たれているのでしょう。

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