ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

天才バカボン

こんど自宅を改築することになり、掃除をしていたら懐かしい本が出てきました。

漫画「天才バカボン」の単行本です。

いまからおよそ半世紀前、うちは特別に教育熱心というわけでもなかったですが、普段あんまり漫画本を買ってもらうことはありませんでした。

ただし、漫画本を買ってもらえる特別な機会がありました。私は体が弱く、とくに耳やのどの医者によくかかっていました。風邪もよくひいていたと思います。

医者に受診する際は子どもですから母親が付き添ってくれます。医院の待合室は畳敷きで、みんなが正座して順番を待ちます。

子どもですから受診をおとなしく待つという行為が非常に苦痛でした。母親もさすがに間がもたないと思ったのでしょうか。こういう時に「漫画本を買って」とせがむと、近くの本屋に買いに行ってくれたのです。

読み出すと夢中になるから、それ以降はおとなしくしていたんだと思います。

そんな母親も80代になり、わたしが介護する立場になっています。人間は年をとるとだんだん子どもに戻っていくとよくいいますが、わたしの漫画を持ち出すまでもなく、子どもは好きなことに没頭していればおとなしいというか、間がもちます。

それに対して老人はもう関心のあることがなくなってしまうような気がします。体力や気力も関係しているのでしょうか、うちの母親もよく「もう何も考えられない」といった意味のことを口走ります。当然、本人にはなんの罪もないのでしょうけど、そばにいてなんだかちょっとやるせないです。

子どもが漫画に夢中になるのと同じような関心事を老人も持てるといいのかもしれません。