ぼちぼち そこそこ

脱力と諦観でつづるおっさんの日常

無粋だけじゃない

こどもの日が近いです。京都新聞にこんな話題が掲載されていました。

こいのぼり「けばけばしい」? 左京 高野川名物姿消す

 京都市左京区の高野川に、毎年この時期に川面を渡して飾られ、地元の風物詩として親しまれていた交通安全祈願のこいのぼりが、昨年春から姿を消している。河川敷の交通安全の横断幕とセットで掲げていたため、市屋外広告物条例で「広告物」とみなされ、「けばけばしくないこと」という努力目標に触れることが分かったからだ。8年続いた恒例行事だけに、住民からは「色鮮やかで楽しみにしてたのに」と惜しむ声も出ている。
 こいのぼりは1999年から毎年、下鴨署管内の幼稚園や保育園の園児が作り、4月中旬から5月中旬にかけて河合橋上流で泳いでいた。近くの河川敷には「交通ルールを守ろう」などと書かれた横断幕も掲げていた。
 広告物の規制強化の流れを受けて、下鴨署は昨年3月、市に問い合わせた。屋外広告物条例の努力義務に反していると分かり、掲出を断念したという。
 市によると、季節の風物詩のこいのぼり自体は規制の対象外だが、横断幕などを一緒に掲げると、こいのぼりも広告物とみなされ、色などの規制の対象になる。交通安全などの公共目的の場合は規制を受けないものの、「けばけばしくないこと」などの努力義務が課せられる。
 市市街地景観課は「こいのぼりは色鮮やかなので、公共広告物であっても色などが努力義務の対象になる」と話し、下鴨署は「交通安全は、こいのぼり以外の方法でも訴えられる」としている。
 園児がこいのぼりを作っていたメグミ幼児園の安藤百合子園長は「入園の直後に飾るので、こいのぼりを見に行くのは交通ルールを教えるいい機会だった」と残念がる。近くの松尾光男さん(78)も「派手とは思わない。季節感があって心が和んだ。条例なんて形式的なことを言わなくてもいいのに」と復活を望んでいた。
最終更新:4月23日13時19分

こどもの夢を大人の杓子定規な決まりでこわした、とみるのは簡単です。それは一面であたっています。しかし、それだけの話にとどまりません。
京都市の景観政策はそれだけ厳しいということです。歴史都市なのだから当然かもしれません。
私が注目したいのは、この政策の経済的な側面です。以下の2点が挙げられると思います。
ひとつは、古都の風情を守るということが観光にプラスになっている点です。
もうひとつは、厳格な規制により、土地利用が制限されるという点です。
他都市で高いビルが建てられるのに対し、京都市では高さ制限があります。上記のように広告物に対する規制もあります。ファーストフードやコンビニエンスストアの看板の色が他都市と違うのはよく知られたことです。
高さ制限についていえば、投資してビルを建てた場合、京都は他都市に比べて費用対効果が悪いということになります。
つまり、現在の政策を進めれば、観光都市として魅力を増す一方で、投資を呼び込みにくい街になっていくということです。
ビルの高さ制限について、さすがに大学などは特例が検討されているようですが、これもあくまで特例にとどまっています。
一般論として古都の風情を守ることに対して異議はありません。ただ、経済的にどういう展望を市はもっているのかなといまいち疑問がないではありません。今後は観光都市に特化してやっていくという決意なのでしょうか。
正直、私も解決策を持ち合わせているわけではありません。ただ、上記のこいのぼりの話題も「こどもの夢をこわすとは無粋だ」との結論にとどまるものではないということだけはいえそうです。