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「国の天下りとは違う」 京都市幹部再就職調査

まあ情報公開としては前進です。

京都市は19日までに、昨年度に退職した幹部職員の再就職先について、氏名や団体名などを市役所のホームページで初めて公表した。再就職先は外郭団体と民間企業が多く、消防や福祉、教育など専門的な分野で前職と関連のある職場が目立った。

市は2006年度から、課長級以上の退職者の再就職先について、外郭団体や民間企業などの区分ごとに人数だけを公表している。公務員の天下り批判が強まる中、透明性を向上させるため、本年度から新たに氏名と再就職先の団体名、職名、再就職日を公表することにしたという。

昨年度に退職した180人のうち、再就職したのは71人。市の外郭団体が19人と最も多く、民間企業が15人、大学など学校関係が9人と続いた。

外郭団体では、市上下水道サービス協会総務課長に就くなど役員以外にも再就職するケースが多い。民間では消防局救急課長が大丸京都店の保安担当、北白川小校長が大谷大の就職相談員など前職と関連する例が目立った。リーガロイヤルホテル京都の管理担当や立命館大教授などもあり、再就職先の分野の広さがうかがえる。

市人事課は「再就職先は企業や団体の要望に応じて紹介している。職員時代の経験を生かすことができるし、国の天下りとは違う」と説明している。

関連職場に再就職目立つ 京都市の幹部職員 氏名・団体名を公表(京都新聞)

ソースは以下です。

職員の再就職の状況について

まず人事課が「再就職先は企業や団体の要望に応じて紹介している」とコメントしている点です。人事課が「うちが斡旋しています」と認めている。いまさらながらといわれるかもしれませんが、再就職は職員人事の延長だということです。

人事ですから、退職者が「私はあそこに行きたい」とか希望してもそれが通るとは限りません。というか、それを許したら統率がとれなくなってしまいます。そのことが、京都市当局が職員に対して言うことを聞かせる力の源泉になっているのです。まあこれは役人に限らずサラリーマン社会全般にいえることだと思いますが。

次に、外郭団体への就職が最も多いとのことですが、良し悪しは別にしてそれはある意味当たり前のことでしょう。やはり問題は民間です。
前業務と関連のあるところに再就職しているのは、コメントでも触れているとおり「職員時代の経験を生かす」ともいえるのかもしれません。問題なのは、それが京都市という組織として既得権化していないかどうかです。
それをどうやって調べるか。たとえば今回、某私大の就職相談員に市立小学校校長が就いていますが、この校長はおそらく3年なり、5年なり勤めるでしょう。その後任に同じように市立小学校校長が就くかどうかです。これから毎年継続的にウオッチしていく必要があると思います。

そもそも180人のうち71人が再就職したというのは他の政令市に比べて多いのかどうなのか。「京都市退職職員の再就職に関する取扱要綱」によると、公表対象者は市への再就職者を除くとありますが、市への再就職は180人のうちどのくらいあるのかなともおもいます。市への再就職者を公開対象から除いているのもどうしてなのかな。

市人事課の「国の天下りとは違う」というコメントもどうなのか。「許認可権をかさにしてやっているのではない」という意味なのかなと推測してみます。けれど、民間からすれば「やってることは同じなんじゃないのか」とツッコミが出そうです。

最後に一点。記事では再就職者の氏名などについて今回初めて公開したとあります。公開の根拠になっているのは前述の「京都市退職職員の再就職に関する取扱要綱」です。
以下、参考。
京都市人事行政の運営等の状況について

これをみると、要綱施行は平成18年3月31日となっています。それなら18、19年度分も氏名が公開されてもよかったはずです。それがなぜか今回初めて平成19年10月1日から平成20年9月30日までの分を公開したとなっています。このへんもよくわかりません。もったいぶって出し渋っていたのかな。