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脱力と諦観でつづるおっさんの日常

敵の敵は友ならず 自転車政策

自転車政策を利用者の立場から議論する京都市の「自転車・京都街角セッション」メンバーが22日、マナー向上に向けた免許制導入や自転車専用レーンの整備などを求める提言を市に提出した。
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それによると、自転車と歩行者の事故が絶えないため、マナーを改善する仕組みづくりの必要性を強調し、自転車利用に免許制導入を提案。利用者に市などが発行する免許の携行を義務付け、違反がない優良利用者には特典なども付与する仕組みづくりを求めた。
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セッションメンバー代表は「世界に誇れる自転車のまち京都をつくっていってほしい」と提言案を提出し、市は本年度中に策定する次期自転車総合計画に、可能な限り提言内容を反映させるという。

自転車のまち京都へ提言 市民団体、免許制や専用レーン整備を(京都新聞)
私自身も自転車利用者なので、施策の推進を望みます。この記事に直接は関係ないかもしれませんが、自転車政策について思っていることがあるので述べたいと思います。
京都市の施策として歩いて楽しいまちづくりを進めようというのがあります。京都市は審議会を作って検討しています。
「歩くまち・京都」総合交通戦略策定審議会
まちなかを歩いて回りましょうと。そこまでは公共交通機関を使いましょうということだと思います。
一方で自転車利用を促進しようという動きもあります。上記の取り組みもそのひとつでしょう。京都市も積極的なようです。
両施策には共通点があります。それは「脱クルマ」です。環境重視、低炭素社会の考えかたです。クルマ社会からの脱却という限りにおいては共闘関係にあります。脱クルマ政策は京都市も進めている施策です。
京都市の施策としては他方、地下鉄など公共交通機関の赤字をどうするかというのがあるでしょう。前回触れた有識者会議もそのひとつです。
京都市バス・地下鉄事業経営健全化有識者会議
この歩いて楽しいまちづくりと自転車利用ですが、経営健全化の視点からみると、必ずしも共闘関係は微妙です。
私のケースを考えてみます。私はいままでは地下鉄やバスを使っていました。しかし自転車に乗るようになってからバスや地下鉄の利用はがたんと減りました。京都のまちなかは20−30分も走ればたいていどこでも行けるから、自転車に乗れば公共交通機関は必要ないのです。今では雨の日に乗るぐらいです。
スーパーに行くと自転車は品質を問わなければ1台1万円ぐらいで売っています。地下鉄は2区間で250円ですから往復で使えば1回500円です。自転車を買っても、地下鉄20回分、1カ月の通勤分を乗ればもとがとれるのです。
京都市の審議会ではあんまり触れられていないようですが、第3回京都市バス・地下鉄事業経営健全化有識者会議では珍しく委員の一人が言及しています。

委員
収入増加策イコール利便性向上と直結すると思うので,その点から考えてみたいですが,私は平素,バスの敵と思われているであろう自転車で移動しています。これは,なぜかといいますと,自転車は,ほぼ目的地までの所要時間が読めるのです。

http://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/page/0000059918.html
市民感覚ではしごくまっとうな考えだと思います。
こうしてみると、歩くまちづくりと自転車施策は、クルマが共通の敵なので共闘できるが、公共交通機関健全化では必ずしも利益が合致しない。むしろ相反する部分もあるということではないでしょうか。施策的にみて両者に整合性を持たせないと、どちらの施策も効果が上がらなくなってしまう恐れがあると思います。
直接、自転車施策とは関係ありませんが、前回のエントリー「審議会VS審議会「仁義なき戦い」」も似たような話かと思います。一方は公共交通機関の利便性向上を図る必要があるといい、もう一方は赤字縮減を考えるとそこまではできないという。施策と施策の間で調整を図っていかねばならないということでしょう。なかなか難しい部分ではないかと考えます。
過去エントリー職員も考えてみました 地下鉄増収・増客前代未聞 京都市交通局に退場勧告イケてるのか 京都市営地下鉄経営健全化計画案(骨子)