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脱力と諦観でつづるおっさんの日常

業界の陳情だけならもう結構 新景観政策1年

京都市の新景観政策実施から1年がたちました。

京都府宅地建物取引業協会(川島健太郎会長)は28日、スタートから1年となる京都市の新景観政策について、建設や不動産関係の団体などと合同で市側との協議会を上京区で開いた。業界側からは「新たな官製不況を生む」などとして規制見直しを求める厳しい意見が相次いだ。
同協会が今月1日に公表した会員アンケート結果では、新景観政策によるマイナス面の影響が出たとの回答が7割に上った。このため、関連業界にも呼び掛けて市に現状を伝え、改善策を話し合うため初めて協議会を開いた。(京都新聞)

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008082800181&genre=C4&area=K00

アンケート結果が公表された際にコメントしようとおもったのですが、時機を逸してしまいました。

アンケートでは、新景観政策実施による高さ規制強化などで会員の7割が「影響がでている」と答え、この半年で売り上げが減少したとの回答も5割を超えているとしています。

問題は影響の内容です。「窓口の判断基準のばらつき」「住宅ローンの通りにくさ」などが挙がっています。これらは会員である宅建業者にとっての「影響」であるのはもちろんですが、いちばん被害を受けるのは施主である一般市民です。

28日の協議会で宅建業協会は「新たな官製不況を生む」などと窮状を訴えました。そういった業界の論理を訴えていただくのもいいのですが、むしろ、市民がどう不便になっているかを訴えていただきたいと思います。席上で出た「設計で創造力を発揮させてほしい」という協会の訴えは、言葉をかえれば、施主が希望するデザインが通りにくいということでしょう。市側に訴えていただきたいのはそういうことです。

宅建業協会からすれば、そうやって市民を巻き込んでいくことが業界の訴えを市側に伝えていくことの近道のような気がします。なのに宅建業協会のHPにはアンケートの結果などは記載されていません。協議会の席上で市側に示した「提案と要望」も載っていません。

同じことは市側にもいえます。新景観政策は市民の理解や協力なくして推進は不可能なのに、政策に関する情報が欠乏しています。京都市のHPにも協議会のやりとりの様子などはアップされていません。

宅建業協会もいうとおり、新景観政策の必要性自体は否定しません。ですが、完全な制度というのはなかなかないわけで、何がよくて、逆にどこの改善が必要なのかはなかなか難しいところです。どう改善していくかについては今後、市全体での議論が必要です。

景観政策に関しては、自分が希望する建物をたてるという私権の実現と景観保全の調和をどうはかるかということではないかと考えています。議論のためには、業界と市それぞれが、市民が議論するための材料となる情報をできるだけ提供することが必要です。

追記 2008-08-30
京都市の景観保全や温暖化防止策に関しては以下でも触れています。コンビニ深夜営業規制ももともと関係していたような。
温暖化防止+景観保全京都を再生させるたった一つの方法無粋だけじゃない